街の灯り

 

 

とびらのカギを開いて

ため息をひとつ  ついた

冷たい部屋の空気は

出て行ったしるし


書き置きなんかないけど

きみの荷物は消えてる

両手にカバンを下げた

後ろ姿が悲しい

 

放ったらかしで

きみの気持ちを思いやりもせず

愛はいつだってそこにあるって思い込んでたさ


ひとり取り残されて

部屋はやけに広くて

知らん顔した時計が

チクタク  時を刻んでる

 

 

ぼくはベランダに立って

ぼんやり外を眺めた

タバコをふかす間に

宵闇がせまる

今日も一日終わって

誰もが家路を急ぐ

帰るところがあるって

それって幸せなんだぜ

 

遠い窓には

幸せそうな影が揺れている

きみとふたりで

あんなあかりを灯したかったよ


「今さらもう遅いよ」

声が聞こえるようさ

手すりにアゴをのっけて

街の灯りを数えてる