8月

 

 

 

28(日)   たまたまエコロジー

 

 


   8月ももう終わる。今年の夏は暑さが厳しいだけでなく、不意にはげしい雨が降ったり、肌寒くなったりと、しんどい夏でしたね。このままいけば電力不足による計画停電はなさそうでとりあえずよかったです。

   今年の夏はクーラーを使わなかった。節電を心がけたわけではない。なんとなく使わずに過ごしてしまった。変かも知れないけど部屋にクーラーがあることを忘れていたんです。


   ぼくの暮らしぶりは、地球にやさしい、いわゆるエコライフと呼んでいいものなのかも知れない。ちいさな扇風機とうちわで猛暑をやり過ごし、移動には公共の交通機関を使う。けどぼくの場合、エコをめざしているのではなくて、結果がたまたまエコなだけである。クーラーを使わないのは、うちわをパタパタ扇いでいれば何とかなるからである。クルマを持たないのはオゾン層を心配しているからではなく、それほど必要じゃないから。まぁその、経済的な事情もありますが。

 


   こういうぼくの質素な暮らしを聞いて、「キミはえらいな~」などと妙なほめ方をされることがある。ぼくとしては身の丈にあった生活をしているだけで、地球環境に配慮する意識はまったくないんですけども。

 

 

 

 

 

 

 

21(日)   自分のライブ動画を観て思うこと

 

 


   ときどき自分のライブの演奏を録画しています。それをYouTubeにUPすることもあります。自分自身の動画をはじめて観たときにいちばん驚いたことは、演奏中の体の動きがハデだったことです。


   つま先でリズムを刻んだり、マイクから離れたり、軽くジャンプまでしている。ぼくはそれを観るまで自分のライブは、体の動きの少ない、おとなしい演奏だと思い込んでいたんです。

   想像するに、ぼくの場合演奏テクニックの未熟さが、あの体の動きになっているのだと思います。思い通りに演奏出来ないイラだちがアクションを激しくさせている感じです。ま、そのイラだちがライブにある種の緊張感を与えていると言えなくもないんですが。でもぼくとしてはもっと余裕のあるライブをしたいんですけどね。

 

 

 

 

 

 

20(土)   「キミだけキャッチャー」

 

 


   この「リサト日記」ではぼくの日常を書いているのだけど、スーパーマーケットにまつわる出来事が多い気がする。おれにとって刺激的な場所とは、近所のスーパーなのか?それでいいのかオレ?

  んでまたスーパーのネタです。

 


   ハム売り場で気になる物を見かけた。それはロースハムを買うと付いてくるおまけだった。それはハムと同じくらいの大きさの円形の容器で、まんなかがまるくへこんでいる。名前は「キミだけキャッチャー」と書いてある。


   キミだけキャッチャー?この道具で誰かをつかまえるのか?子供向けの遊具なのかな?

.  .  .  .  ぼくの想像はぜんぜんはずれてた。"キミ" は "君" ではなくて、"黄身" でした。

   この容器に生タマゴを割りおとすと、真ん中のくぼみが黄身だけキャッチし、白身は横のすき間から落ちる仕組みになっている。タマゴの黄身と白身を分離させる台所用品です。

 


   ハムの売り場から離れてからもぼくは「キミだけキャッチャー」について考え続けた。あの道具、女の子に告白するとき持って行くといいんじゃないだろうか?「ぼくはキミだけをキャッチしたいんだ、これを使ってね」と言いつつ、このハムのおまけをサッと取り出すのだ。なんてサムいこと思いつくのだおれは?女の子ドン引き間違いなし。

 

 

 

 

 

 

 

16(火)

 

 


"愛の行為"


"ヘンタイ行為"


はざまで

 

 

「そこはキスする場所じゃないっ」彼女はあわてて上半身を起こし、ぼくに言った。

   ふふふ、分かってないねベイビー。キスしちゃいけない場所なんてないんだよ。これはぼくらがお互いをもっとよく知るためのいわば "愛の行為" なんだ。タブーなんかないんだ。ぼくはそう言おうと思ったけど言葉には出来なかった。ぼくの口はその時、別のことで忙しかったから。


   愛情表現と変態行為の境界線は人によって異なる。相手が受け入れてくれればその行為は愛情表現、拒絶されたら変態行為となる。同じことをしてもその反応は人によってさまざまだ。下手をするとビンタを食らうこともある。



   夏にゲットした恋を、さらにディープなものにしたいみなさん、勇気を出してガンバってください。先走ってほっぺたに平手打ちの跡を作るのもたまにはいいものです。

 

 

 

 

 

 

 

5(金)   スーパーマーケットの片隅で死を悼む

 

 


   スーパーマーケットの菓子売り場でせんべいを物色していた。ふと見ると、一番下の棚の目立たないところに田中好子さんの写真が貼ってあった。

  ご存知のように田中好子さんは元キャンディーズのスーちゃんです。その後女優として活躍し、今年の春に亡くなった方です。

   なぜスーパーの菓子売り場にスーちゃんの写真があるんだろ?小さな写真に顔を近づけて見ると、それは三幸製菓というお菓子メーカーの広告だった。スーパーの店員さんがはがし忘れたものがそのままになっていたみたいだ。

 

   ぼくはキャンディーズが解散したあとのことはほとんど知らなかったから、その写真の女のひとがスーちゃんだとわかるまで少し時間がかかった。元アイドルの女の子は、歳を重ねて穏やかな笑顔で写真に写っていた。

 テレビなどメディアで有名人の訃報を聞くと、それは単に誰かが死んだ、というワイドショー的情報になりがちだけど、スーパーマーケットの片隅で偶然見つけた故人の写真を見ていると、その人の死が現実味を帯びて迫ってくる。いまぼくが見ている写真のなかの笑顔は、もうこの世界には存在しないのだ。

 

 

   ぼくはしばらくその写真をながめていた。合掌。